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野口晴哉【整体体操ノート1】を読む(1) 『うなぎの蒲焼操法の話』
12月6日の野中操法講習会の最後に、参加者の皆さんの所感を簡単に述べていただいた。そのまま忘年の杯をあげ、座談というか雑談した。その折に野口晴哉著【健康の自然法】の中に記されている、愉気の本質、霊気や気功と愉気の違いをお話しした。このブログで書くことを予告し、先行公開したわけである。だから本当はこれを先に書くのが筋なのだが、聞くところによると随分多くの方が、僕の拙い駄文を見てくれているらしい。その中には、未だご縁は無いのだが、同志とでも言うべきお方も居られると考えた。だから、忘年のギフトとして、先ず野口晴哉著【整体体操ノート1】の中の貴重な文章、『体操のおこり』を引用し、それから後に、整体に於ける「体操法・愉気法」の最も大切な基本概念を明確にしようと思う。その前に最近僕が遭遇した臨床例を知ってもらい、それをもってこの話題の前段にしたいと思う。

ごく最近、余命いくばくも無いと言われている90歳になる老人がいた。或る事が原因で肺炎になり、もうダメだということで緊急入院した。ところが入院していた大病院は、この老人を設備の劣る病院に転院させようとした。このことに抵抗したのは、85歳になる奥さんだ。虫の息のご主人の意思を尊重して自宅につれて帰った。医師や看護師やケアマネも、この奥さん一人では無理だからという理由で転院を勧め、現在もお勧めしている状態である。これは当然のことであろう。しかし、その90歳のご主人は流動食みたいなものを食べさせられ、どんどん衰弱してゆく。まるで人工的に植物状態にしているみたいだ。

僕はこの奥さんから相談を受けた。どうすれば元気になり、最期を全うできるのかと。僕は答えた「命の力を出し切ることですよ」と。「ではいまの主人にできることは」と奥さんは僕に訊いた。

このご主人は、近くの鰻屋のうなぎの蒲焼が大好きだ。その鰻屋は、注文を受けてからうなぎをさばく。鰻屋の亭主の顔はまるでうなぎで、うなぎがうなぎをさばいて、客にうなぎを食べさせるというのだ。僕はこの話を件の奥さんから聞かされていたので、いよいよという時に備えて奥さんにあらかじめうなぎのことばかり話していた。そして事はいよいよというところまで来たので、好きなものを食べさせてはというアイディアを話してみた。奥さんは、あっ!といってその日にうなぎの蒲焼を注文した。

そして2日後の奥さんの話だ。うなぎの蒲焼が来るとご主人は匂いに反応して、完食してしまったという。僕がゆくとご主人は眼の光がランランとして元気になっていて「ああ、院長先生おはようございます」とかいって挨拶した。正直これには驚いた。僕は命の力を出すために、うなぎの蒲焼が良いと思ったのだが、こんなに効果があるとは思わなかった。炯眼の読者はこの出来事の中に整体指導とか治療の真髄のカラクリがあることを見抜いているに違いない。すべての操法・治療・体操に於いても通底している真理がこの出来事には包含されていると思う。
僕は、これを『うなぎの蒲焼操法の話』と呼んでいる(笑)
| kawashima1092 | 00:00 | - | - | - | - |

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